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世界有数の資産運用会社ピクテさんの投資理論を個人の資産運用へ

世界で最も歴史が長く、また非常に高い評価を受けている資産運用会社さんである「ピクテ投信投資顧問株式会社」を聞いたことがあるでしょうか。スイスのジュネーブに創業して以来、多くの資産家の運用を行ってきました。ピクテ(Pictet)は一貫して長期投資・分散投資をテーマに、サービスを行っています。

 

以前はピクテさんというと、手数料の高い商品を提供しているイメージがありました。でも最近ですと、iTrustという商品をラインアップに加え、個人投資家の資産形成の一端を担おうとされています。

itrust.pictet.co.jp

 

今回は少し前になりますが、ピクテさんの出された書籍をご紹介したいと思います(2019年4月に改訂版が発売されました。詳しくは当記事の「追記:改訂版が新しく発売」をご覧ください)。

 

 

なぜこの本を手に取ったか

最初にご紹介をさせていただいたように、ピクテさんは最も歴史のあり、また高い評価も得ている資産運用会社さんです。その歴史は200年以上に渡り、数々のイベントの中でも顧客の資産を守り増やしてきました。

 

日本ではあまりインフレというものに馴染みがないかもしれないですが、世界的にはインフレによる資産の毀損というのは非常に大きな問題となっています。「資産管理コラム 資産を目減りさせないために知っておきたい2つのルール」では、インフレの影響が紹介されています。

図表1は、インフレ率を1%、2%、3%と想定し、1,000万円の資産が将来どれだけの価値になるかを示したものです。政府目標であるインフレ率2%が続いたとすると、現在の1,000万円は25年後には約半分の価値にまで目減りしてしまいます。

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つまりインフレになると、お金の価値が下がるため実質的には購買力が下がってしまいます。そのため、インフレに負けないスピードで資産を増やしていくというのは、個人レベルでも非常に重要になってきます。

 

物価に関してはこちらの参考記事もご覧ください ⇒ 「なぜ、いまだに最低賃金を気にする人が多いのだろう

www.finance-tenshoku.com

 

ピクテさんのこの培ってきた運用に関する哲学、方法論を垣間見ることができればということでこちらの書籍を選びました。

 

感想

こちらの書籍には、ピクテさんの運用に関する哲学や、顧客に対する考え方が出ていました。ピクテさんには以下の「ピクテ・バリュー」と呼ばれるものが掲げられているようです。

  1. 独立 Independence
  2. 卓越 Excellence
  3. 誠実 Integrity
  4. 尊重 Respect

 

このような考え方の中で、顧客第一主義を掲げ、顧客の資産を守ってきたようです。特にピクテの会社自体の経営が苦しい時でも、短期的な改善は求めずに、コツコツと業績の回復を行ってきました。

 

興味深い逸話が紹介されていました。

かつて、真っ赤なフェラーリで出社した社員がいたそうです。それなりの収入があれば、高級車に乗りたいと思うのも不思議ではありません。しかし、その社員はすぐに上司に呼び出されました。

「今日会社を辞めるか、今すぐあの車を手放すか、どちらかを選べ」

そう告げられた社員は、車を売却したそうです。極端な話に驚くかもしれませんが、徹底して倹約するこの姿勢があるからこそ、長い間投資家の資産を保全することができあのです。

 

セルサイドと呼ばれる金融のサービスを提供する側の、いわゆる証券会社ではあまりない光景だなと思いました。セルサイドはどちらかというと顧客から手数料をとって、高級スーツを身にまとい、イケイケな雰囲気を出している人が多いからです。バイサイドと呼ばれる運用会社側では、ヘッジファンドは別ですが、こういった地道な活動を行っている会社は多いイメージがあります。

 

ピクテでは、資産をこの「お金のタマゴ」と呼ばれる考え方で分ける方法を提唱しています。資産をリスク許容度に分けることで、適切な資産運用を行おうという考え方です。

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今回、特に面白かったところは以下のところです。

 

マイナス金利で分散投資のあり方が変わる

従来、資産運用に関する考え方で、株式と債券の両方を持つことでリスクを抑えながらリターンを生み出すことができるというものが一般的でした。しかし、この「モダン・ポートフォリオ理論」は今のマーケットにはあわないのではとの見方も出てきています。著者はその考えを以下のように述べています。

今後、国債の利回りはさらに低下するようにも上昇するリスクを意識する必要があります。利回りが上昇すると国債の価格は下落します。国債は安全資産ではなく、ただのリスク資産になってしまったのです。また、先進各国の政府債務残高が膨張を続けているので、デフォルトリスクさえも意識する必要があるのです。

 

 この考えは私自身、非常にしっくりくるもので、自分自身のポートフォリオを作るときにも債券の比率は非常に少なくしています。特に日本はいまだに債券の買い入れを行っているため、債券価格の下落リスクは高いと考えています。

 

参考記事 ⇒ 私の資産運用におけるポートフォリオの作り方

www.finance-tenshoku.com

 

オルタナティブ投資も活用。分散投資の実践例

ピクテの中でも人気のある商品の1つである「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」では、オルタナティブ投資も活用しているとのことです。ここでは、いわゆるロング・ショート戦略と呼ばれる、割安な銘柄を買い、割高な銘柄を売るというヘッジファンドが得意とする投資戦略を活用されているようです。

 

ヘッジファンドの活用に関してはこちらの記事もご参照ください ⇒ 「ヘッジファンドもフル活用 ハーバードも行う最先端のエンダウメント投資とは

www.finance-tenshoku.com

 

その他にも通貨も分けた形でいろいろなETFやREIT、コモディティもポートフォリオに入れているということです。徹底した分散投資を行い、その配分はマーケットの状況により機動的に変えていくことで、運用実績をあげていっています。(ファンドの詳細は「こちら」をご覧ください)

 

日本市場に入ってくる前にこの戦略を採用したファンドが、スイスの富裕層向けに販売されていたそうですが、その運用成績はリーマンショック時にも安定した成績をあげていたとのことです。私自身は安定した運用よりも、リスクを取りに行って高いリターンを得ることを考えているので、今はポートフォリオに入れていませんが、ニーズによっては合う方もいるのではと思います。

 

「育てる投資」における世界高配当公益株式の有効性

公益企業は、いわゆるインフラに関係する企業を指しています。本書では、公益企業は「電力・ガス・水道・電話・通信・運輸・廃棄物処理・石油供給などの日常生活に不可欠なサービスを提供しています」と定義しています。

 

こういった企業は景気の良し悪しに関わらず常にニーズがある業態なので、株価が安定して、リスクが低い企業とされています。そんな公益企業の中でも、高配当を提供している企業は更にリスクを抑えて投資をすることができます。

 

株価の下落リスクが相対的に低いということは、株価の上値余地があり、かつ配当という形でもリターンを得ることができるという点が魅力となります。もちろんピクテさんのファンドの中でこういったところに投資をしている商品を、自身のポートフォリオに入れることも一つですが、もし個別株を運用されている方であれば、こういった高配当公益銘柄に目を向けることも一つではないでしょうか。

 

終わりに

資産運用は今かつてないほどに注目をされています。何度か当ブログでもお話したように、つみたてNISAやiDecoといった商品は、国として個人の資産運用を後押しする政策となっています。

 

そんな中でどういったポートフォリオを組んで自身の資産を増やしていくかということは個人の責任になってきています。個人で資産運用を考えるのが理想だと思いますが、最初はすでに分散投資がされたファンドから始めるのも1つだと考えます(ただしその場合、手数料が割高になっているケースもありますので、必ずご確認ください)

 

ピクテさんであっても、その他の運用会社さんであっても、自身の状況やニーズを正しく理解した上で資産を任せてみることが重要だと思います。

追記:改訂版が新しく発売

~2019年4月追記~ 

本書の改訂版が「改訂版 210余年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー」として出ました。情報が更新されていますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

▼以下は関連記事です。

私が実際に積み立てているファンドのリストです。もちろん参考程度でご覧いただけると幸いですが、こちらのピクテさんのファンドも購入させていただいております。

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超有名投信ブロガーの水瀬氏の最新の著書です。一読を強くおすすめします!

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