「これからの投資の思考法」の感想と、ウェルスナビの評価やメリット、デメリットをまとめてみた。
2018年もそろそろ終わり、2019年が近づいてきました。
例年この時期のマーケットというと、「閑散に売りなし」という言葉も出るように、市場参加者が少なくなり、年末ラリーが始まり、2019年初頭の新規マネーが入る前に先回り買いが出るような場面が見られる時期になっています。
しかし、今年はどうも様子がおかしい。
日経225先物は大台の20,000円を割り込んで推移する場面が見られ、NYダウは1週間で1,600ドルも下げる展開となりました。
ある程度投資の経験者であれば、先物をショートするといったことで、リスクをヘッジしながら、運用をしていきたいところではありますが、なかなかそこまでするのは難しいという方も多いと思います。
そこで資産運用の原点に戻ってみたいと思います。
今回手に取ったのは、「これからの投資の思考法」という本です。
こちらはウェルスナビCEOの柴山氏が書かれた本です。
柴山氏の経歴は以下のようなものです。
東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。日英の財務省で合計9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画する。その後、マッキンゼーでは、ウォール街に本拠を置く機関投資家を1年半サポートし、10兆円規模のリスク管理と資産運用に携わる。次世代の金融インフラを構築したいという想いから、2015年4月にウェルスナビを創業。
一応、Wealthnaviさんという会社さんを聞いたことがない方のために、最近流れていたテレビcmを掲載します。おそらく多くの方が一度は見たことがあるのではと思います。
「はじめて」篇 WealthNavi(ウェルスナビ) テレビCM
さて、今回ご紹介する書籍の著者である柴山氏はウェルスナビの社長さんですので、自社サービスの宣伝本かと思ったのですが、内容は非常にオーソドックスな正統派で、資産運用の考え方が書かれていました。
とても良かったので、こちらの書籍をご紹介したいと思います。
なぜこの本を手に取ったのか
この本が出ていたのは知っていたのですが、正直手に取っていませんでした。
理由は先ほども書いたように、宣伝本なのでは?と思っていたからです。
しかし、たまたまAmazonさんのレビューを見て、実は面白いのではと感じました。
また、たまたま読んだ柴山氏の記事(本書の抜粋)が面白かった。
これらの理由から、本書を手に取ってみました。
感想
内容は非常に良かったと思います。
また資産運用を始めたいと思わせてくれる内容でした。
私は知らなかったのですが、柴山氏は国際結婚をされたのですね。
この奥様のご両親が米国人で資産運用をされていたこと、またそれと対比する形で日本人はなかなか資産運用をされている人が少ない。
こういった現状を見た上で、資産運用の重要性、方法論、そしてもちろんロボアドバイザーについて言及があります。
少し内容を見ていきたいと思います。
長期・積立・分散の徹底
他の資産運用の書籍でも書かれていますが、やはりこの「長期・積立・分散の徹底」ということがベーシックになってきます。
柴山氏は、「長期・積立・分散の徹底」の方法論を以下のように定義しています。
- 10年以上(できれば20年以上)の長期投資
- 毎月、一定の金額を投じる積立投資
- 世界中のさまざまな資産への分散投資
出典:本書30ページより
こちらは柴山氏のWealthnaviのホームページの中の「資産運用の王道『長期・積立・分散』をはじめよう。」にも同様の記述があります。
ちなみに同ページによると、上記のような条件で25年間投資を行うと、資産額が約2.4倍変わってくるということです。
お金に働いてもらうということで、適切な運用を続けるということが重要になってきます。
日本人が知らなかった"正しい"資産運用
では具体的にどのように資産運用を行っていけば良いか、方法論に移りたいと思います。
先ほどの「長期・積立・分散の徹底」を行う上での、6つのステップが紹介されています(本書85ページより)。
- 資産運用の目標を立てる
- 最適な資産配分(ポートフォリオ)を作る
- 具体的な銘柄を選定する
- 取引の前に、もう一度リスクを確認する
- 積立を設定する
- リバランスを着実に行う
それぞれの具体的な内容は本書でご確認いただきたいのですが、これらが非常に重要だというのは感覚的にもお分かりいただけるかと思います。
冒頭でも述べたように、昨今金融市場は大きな動きに直面しております。
今まで強かった株式市場が軒並み下落する場面が見られています。
こういった場面で、慌てなくて済むように、上のステップを確認することは非常に重要になってきます。
自分の資産が増えているときを想定するのではなく、減ってきた場面でも、落ち着いていられる準備が必要になってきます。
テクノロジーの活用
さて、著者の柴山氏はウェルスナビの社長さんです。もちろんAIの活用という点も書かれています。
特に面白いと思ったのは、その前の第5章のテーマである「人間の脳は資産運用に向いていない」というものです。
つまり金融市場を予測するのは難しい上に、その中で正しい決断を下すことは更に難しいということです。
当ブログでも何度か「予測しない」「機械的な運用」の重要性を述べてきました。
しかし、これを実際に行うのはなかなか難しい部分があります(本来は難しくならないように「機械的な運用」というものを主張しています)。
その中でテクノロジー(AI)というものを活用し、資産運用のみならず、あなたの資産全てを管理するプライベートバンカー的な役割を担ってもらおうという考えが述べられています。
詳細は本書に譲るとして、非常にワクワクする内容ではあります。
今後のウェルスナビさんにも注目はしております。
最後にWealthnaviさんのサービスに関して
さて、本書は非常に良い内容の書籍であったので、ぜひ皆様にもお勧めしたいと考えております。
書籍もいいが、まずはさくっと柴山氏の考えに触れたいという方は以下の動画もおすすめです。
最後に私自身のウェルスナビさんへのサービスへの印象も少し触れたいと思います。
私自身、「ウェルスナビさんのロボアドバイザーはすごい、しかし手数料が気になる」という考えを持っています。
まず「すごい」という点ですが、今まで一般の人はアクセスできなかった金融ポートフォリオ理論を提供している点がすごいと思います。
このポートフォリオ理論は、ハリー・マーコビッツ氏が1990年ごろから提唱している、昔からあるオーソドックスでありながらも世界中でいまだに活用されている理論です。
「Wealthnavi 評判」「Wealthnavi 口コミ」といったキーワードで検索してみると、以下のようなページが出てきました。
こういったページが多くできるほど、金融機関が使っている理論が広まってきているのは非常に嬉しいことだと感じております。
しかし、一方で手数料がかかるということは忘れてはいけないと思います。
2018年12月24日現在の手数料ですが、おおむね1%ほどかかるようです(詳細は「手数料・最低投資額について|ロボアドバイザーならWealthNavi(ウェルスナビ)」をご覧ください)。
私は以前自身で実際に購入しているポートフォリオというものをご紹介させていただきました。
約6割がインデックスファンド、残りがアクティブファンドで構成していますが、トータルでの私のポートフォリオの手数料は0.7~0.8%ほどになります。
つまりウェルスナビさんのサービスは更にコストがかかるということになります。
資産運用の基本としてコストに注意を払うということを考えると、ここは少し考えないといけません。
しかし、ここは考え方であるとも思います。
つまり私は金融の仕事に携わり、ポートフォリオを考えたり、自身でリバランスを行うのが苦痛だと考えないから、安く済んでいるという部分もあります。
実際にこういったことを考えて、リバランスを行ったりするのが面倒だと考えるのであれば、やはりロボアドバイザーに任せるのが適切だと思います。
金融機関が使っている理論を自身の運用に活かしたい、自分で銘柄選定やリバランスをするのが面倒だと考える方は、ウェルスナビさんのサービスをぜひ使ってみていただきたい。
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