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プロも使うポートフォリオ理論を個人で再現!良書です!

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今回は、ポートフォリオ理論についてちょっと深く学びたい人にぜひおススメの1冊をご紹介させていただきたいと思います。先日、購入したのですが、とても分かりやすく、すぐに読み終えることができました。実際にこんなつぶやきもさせていただきました。

 

 

ポートフォリオ理論というのは、資産運用の世界ではぜひ知っておきたい理論になります。例えば、今流行りのロボアドバイザーでもこの理論を使われているところがございます。実は今大人気のウェルスナビさんのホームページでは、その理論をホワイトペーパーとして公表しております。(詳細は、https://www.wealthnavi.com/image/WealthNavi_WhitePaper.pdfからご覧ください)

 

とは言え、このページを見たところで一般の方にとっては理解が難しいと思います。そこで今回ご紹介したい本が出てきます。

 

対象となる読者は以下のような方だと思います。

  •  ロボアドバイザーで使われている理論の背景を知りたい人
  • 資産運用をある程度行い少し深い理論を勉強したい一般投資家
  • 金融機関にお勤めの方
  • ファンドが実際にどのようにリスク管理を行われているか見たい方
  • リスクとリターンを正しく理解されたい方
  • 資産運用のパフォーマンスを上げたい方

 

では実際に内容を見ていきたいと思います。

 

 

なぜこの本を手に取ったか

私自身、金融機関に勤めているため、こういった理論はある程度理解しております。その理論を勉強するためにも、ある程度専門書を読み漁ったりするのですが、一般の方にはどうしても馴染みのない分野になってしまいます。しかし本書は、複雑な計算式はなるべくエクセルで行わせ、プロが使うような理論を一般の方レベルにまで落とし込んでいます。

 

また著者の方はヘッジファンドでの勤務経験もあるということで、何かしらの良いヒントが隠されていないかなと思い、今回は手に取りました。

 

なおAmazon様に掲載がされている本書の紹介文は以下のようになります。

投資に使える! 金融がわかる!


これから始める人でもファイナンス理論の
“あの独特な考え方"が一から理解できるように、
資産運用に携わってきた金融のプロが

1.プライシング理論(“本来の価値"をどうやって求めるか?)
2.ポートフォリオ理論(どの資産にどれだけ投資すればよいか?)
3.リスク管理(適切なリスクとは? 致命的な損失を避けるには?)

について最大限平易に解説。
併せて「エクセル関数を使って自分で統計分析する」方法も紹介。

これまでファイナンスの本を読んでみたけど挫折したという方は、
ぜひ本書で始めてください。

 

感想

本書は非常に分かりやすく良書だと感じました。特に昨今では資産運用という分野が注目されており、積立投資といった投資法に興味を持つ個人の方も増えてきています。実際に、投資への裾野が広がってきているのですが、初心者向けの本が多いなと感じていました。

 

本書はそことは一線を画し、ややプロ寄りの内容になっています。したがって、投資を始めたばかりの人にはお勧めしません。しかし、ある程度資産運用というものに触れ、実際にプロがどのようにリスク管理、ポートフォリオ管理をしているのか、またそれを個人レベルで行うにはどうしたらよいのかといった分野に関心のある方であれば、ほぼ間違いなく楽しんでいただける内容だと思います。私が特に良いと思った点は以下の3点です。

 

βの変動によって利益を最大化する

β(ベータ)とは、本書にも詳しく記載がございますが、市場の動きに対する感応度となります。たとえば、βが1.2(比較指数が日経平均)の個別株の場合、日経平均が1動くと、その銘柄は1.2動くことになります。

 

このβを調整することで利益を最大化していきます。つまり市場が下落傾向の場合、βを小さくすると損失を抑えることができ、上昇傾向の時には、βを大きくすると利益を拡大することができます。

 

このβの調整は、本書にもございますが先物を使うのが簡単です。言い換えると、マーケットが弱い時は先物をショート(売り持ち)することで、その先物取引が利益を生み出すので、あなたの資産へのダメージは小さくて済みます。一方で、強気相場の時は、先物をロング(買い持ち)することで、利益を大幅に増やすことができます。

 

実際、そのマーケットが強気なのか弱気なのかといった部分を判断するのはプロでも難しいのですが、先日のトルコショックの時のように、マーケットが弱気の時は少し先物を活用するのも悪くありません。

 

なお応用編ではありますがFXでのヘッジについては以下の記事で紹介しております。

www.finance-tenshoku.com

 

ポートフォリオ理論の基礎、「CAPM理論」とは

CAPM理論(資本資産価格モデル)についての説明がされています。非常に有名な理論で、ポートフォリオでなくとも、例えば個別株の資本コストを算出する際にも使われる理論になります。企業分析の際にも使う非常に有益な理論になりますので、ぜひ一読をいただければと思います。

 

本書ではポートフォリオ理論という中での、CAPM理論の紹介になります。特に本書では複雑な数式を使わずに、イメージを重視して紹介がされています。ここはぜひとも書籍の中で読んでいただきたい部分になります。

 

VaRの計算、最小分散ポートフォリオを自分で作ってみる

本書の一番面白い部分がここになると思います。VaRとは、「バリュー・アット・リスクとは|金融経済用語集」によると、以下の定義がでています。

バリュー・アット・リスク(VaR)は、統計的手法を使って、市場リスクの予想最大損失額を算出する指標をいいます。これは、現在保有している資産(ポートフォリオ)を、将来のある一定期間保有すると仮定した場合に、ある一定の確率の範囲内(信頼区間)で、マーケットの変動によって、どの程度の損失を被る可能性があるかを計測したものです。

 

例えば、あるポートフォリオについて、その保有期間を1日、信頼区間を99%としてVaRを計算すると、その保有期間中に、このポートフォリオの評価損失がVaRの金額を越える確率は1%ということになります。すなわち、100日の内99日は日次評価損失がVaRの範囲内ですが、100日の内1日はVaRを超える可能性があることを意味します。

 

一言で言うと、「統計学的には、起こりにくい確率ではるものの、もし起こった場合にどのくらい損失が出るか」という数字になります。本書ではVaRの数字に関するこんな逸話が出ています。

VaRはもともと、JPモルガンの最高経営責任者だったD.Weatherstoneの指示によって開発され、それが世界に広まったものですが、Weatherstoneは毎日16時15分に、保有期間1日を前提としたVaRの値が会社の資本額を超えていないことを確認して帰宅していたそうです。 

(本書第3章より抜粋)

 

現在でもVaRは多くの金融機関で採用がされている考え方になります。例えば、「大垣共立銀行」が発表している「ディスクロージャー」には、このような記載がございます。

当行では、これらの金融資産及び金融負債のVaRの算定にあたっては、分散共分散法(保有期間120日、信頼区間99%、観測期間5年間)を採用しております。分散共分散法でVaRの算定の難しいキャップ付フローター債などの一部の商品については過去に同種の商品で観測された価格変動率やベーシスポイントバリューを基に保守的にVaRを算定しております。算定したVaRは金利の変動リスク並びに価格変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しております。

 

当連結会計年度末のVaRは、全体で50,929百万円であります。 

このように金融機関さんのディスクロージャーにも出てきている非常に重要な考え方になります。

 

また最小分散ポートフォリオのエクセルでの作成方法が紹介されています。本書では、投資比率を変えていった場合の、ポートフォリオの期待リターンと標準偏差の変化をシミュレートし、その中から資産分配(アロケーション)を決めるという方法を紹介しております。

 

内容は少しプロ向けになっていますが、平易な言葉で書かれておりますので、ぜひ一般の方にもチャレンジしていただきたい内容になっています。

 

終わりに

いかがでしたでしょうか。何度か言及させていただきましたが、今回ご紹介した本は投資を始めたばかりの方を対象としたものではありません。しかし、あなたの大事な資産を守るうえで、リスク管理というのは非常に重要なものとなっております。

 

金融期間はリスク管理という点ではかなりうるさく言っており、それはちょっとのミスで会社に大きな損害を出しかねないからです。ぜひこういったプロも行うようなリスク管理を皆様の資産運用の中で生かしていくことができればと思います。非常に読みやすい本ですので、ぜひ手に取ってみてください!

 

▼以下は関連記事です。

ポートフォリオのリスク管理をできるだけ分かりやすい言葉を心がけて、説明をさせていただきました。人気の記事の1つです。

www.finance-tenshoku.com

資産運用関連でぜひ読んでいただきたい書籍をまとめました。投資を始めたばかりの方にもおすすめの本を選ばせていただいております。

www.finance-tenshoku.com