【金融工学・デリバティブ編】おすすめ書籍11選
今回は私が実際に読んで良かったと思えるデリバティブ関連の書籍を紹介します。日系・外資問わず金融機関で働いている方、特にデリバティブの実務家やクオンツを目指している学生さんにもお勧めしたい本になっています。
(FX・外国為替編、投資信託編、株式投資編はこちらから)
- 松原 望の 確率過程 超!入門
- 金融実務講座 マルチンゲールアプローチ入門: デリバティブ価格理論の基礎とその実際
- 数理ファイナンスの歴史
- フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕 ―デリバティブ取引とリスク管理の総体系
- モンテカルロ法によるリアル・オプション分析―事業計画の戦略的評価
- トレーダーは知っている-オプション取引で損をしない「法則」
- 実務家のためのオプション取引入門
- オプション市場分析への招待
- XVAモデルの理論と実務
- 基礎からわかるLIBORマーケット・モデルの実務
- デリバティブキーワード360
松原 望の 確率過程 超!入門
まずはこちらの「松原 望の 確率過程 超!入門 」から紹介したいと思います。こちらの書籍は、そもそも確率って何?といった基礎をおさらいするのに最適な本になっています。デリバティブを考える上では最低限確率論や標準偏差といった統計の知識が必要になってきます。そういったところを分かりやすく解説している入門書としては本書が一番良いかと思います。
金融実務講座 マルチンゲールアプローチ入門: デリバティブ価格理論の基礎とその実際
これはデリバティブの評価を行う上で、重要なコンセプトとなるマルチンゲールを分かりやすくかみ砕いて教えてくれています。もちろん多少の数式は出てきますが、式の意味やイメージを重視してくれているので理解がしやすいです。
<Twitterでのコメント>
金融工学を学ぶために確率を勉強したい人は、この入門確率過程とマルチンゲールアプローチ入門さえ読めばいいと思います。集合論も測度論もこれで学べます。
— Kske (@Kskexx) June 9, 2017
マルチンゲールアプローチ入門は神本
— Kairi (@kairi_sh) May 11, 2017
数理ファイナンスの歴史
金融業界では過去に、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破綻、リーマンショックといった様々なイベントが起きてきました。本書では金融工学の概念的な説明、どのように発展してきたのか、なぜこういったイベントの引き金になったのかという説明がされています。読み物としても非常に面白いです。
<Twitterでのコメント>
『数理ファイナンスの歴史』なんてどうでしょう?確率微分方程式が理解できなくても金融工学がまるっと本質的に理解できる非常に珍しい本です。 #質問箱 #peing_chronomerchant https://t.co/UyG4njeln6 pic.twitter.com/yZkGTqxDiN
— クロノスの商人 (@ChronoMerchant) January 5, 2018
櫻井豊『数理ファイナンスの歴史』を読んでいるがこれは名著なのでは
— triplealpha (@triplealpha0) October 7, 2017
フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕 ―デリバティブ取引とリスク管理の総体系
これは金融の実務家、クオンツ、トップの金融機関で働きたい学生さんに必ず読んでいただきたい本です。何度か改訂されていますが、その度に旬な話題が盛り込まれ、また翻訳もかなり良くなっています。金融の教科書としてぜひ持っておきたい本です。
<Twitterでのコメント>
ファイナンシャルエンジニアリングはマストです。エロ動画買う暇があったらその分貯金したらあっという間に買えます。
— クロノスの商人 (@ChronoMerchant) June 14, 2018
FICCなら実務的な野村、三菱、タックマンが出してる債券やら国債やらの全て的な本も買いましょう。名前は忘れました。 #peing #質問箱 https://t.co/LjOINxIcaw pic.twitter.com/TVUJP87jzw
そもそも、俺、まったく本読まないんですよ。債券の常識とジョンハルのファイナンシャルエンジニアリングくらい、参考書程度に。。。
— DF (@dfinvestment) February 8, 2019
モンテカルロ法によるリアル・オプション分析―事業計画の戦略的評価
デリバティブ評価に関する方法論が分かりやすくまとめられています。本書が他の書籍と違う所は、VBAの使い方から始まり、読者に実際にマクロを組んでデリバティブ評価への道筋を示している所にあります。ブラックショールズはもちろんヘストンモデルを紹介している本はあまり多くありません。
トレーダーは知っている-オプション取引で損をしない「法則」
これは当ブログでも紹介したことがありますが、デリバティブトレーダーがどういった考えを持ってトレードしているかという実務的な内容になります。本書はSABRモデルを日本語で解説している数少ない書籍ですので、そこだけでもこちらの本の価値はあります。
実務家のためのオプション取引入門
オプションの基本的なコンセプトから、オプショントレーダーとしては必須のグリークスに関する紹介まで、幅広く行われています。そこまで専門的な内容ではなく、オプションに携わる方であればぜひ最低限押さえておきたい知識かと思います。金融機関で働いている方でなくても、実際に個人でオプションを取引される方であれば、ぜひ目を通しておきたい書籍だと思います。
<Twitterでのコメント>
『実務家のためのオプション取引入門』なんかいいと思います。ただその資金量だとそこまで分散できずに小数の小型成長株を持っていると思うので、指数オプションでヘッジするのはそもそも現実的でないかもしれません。タレブは宗教なので忘れましょう。 #peing #質問箱 https://t.co/hgbm9VJCN5 pic.twitter.com/Hu61AalIu5
— クロノスの商人 (@ChronoMerchant) March 23, 2018
オプションの理論面でしたらジョン・ハル著「フィナンシャルエンジニアリング」が定番です。最新版は辞書のように分厚くなってしまいましたが、エッセンスは変わっていません。また、佐藤茂著「実務家のためのオプション取引入門」もおすすめです。MMの行動がわかります。
— long gamma (@skew123) November 23, 2016
オプション市場分析への招待
本書は先ほどの「実務家のためのオプション取引入門」の応用編・発展形と考えていいかと思います。内容自体は少し専門的なものになります。ただ、ジャンプ拡散モデルや確率ボラティリティモデルは、オプションのモデルを考える上では持っておきたい知識になります。ぜひ挑戦してみていただければと思います。
XVAモデルの理論と実務
金融危機以降、どこの金融機関も考慮しないといけなくなったカウンターパーティーリスク。自社あるいは他社のデフォルトリスクを勘案してプライシングを行っていこうという動きが広まりました。内容自体は、数式も多く出てきますが、詳しい解説がされているので、そこまで抵抗なく読んでいただけるかと思います。
本書がXVAに関する専門的な書籍としては日本で初めてかと思いますが、最近では下の「xVAチャレンジ―デリバティブ評価調整の実際」という本も出ました。書店で目を通しただけですが、分かりやすく解説がされているようです。金融アドバイザリー業務では大手の、あずさ監査法人が翻訳を担当したようです(原著は英語です)。まだ読んでいないので、読む機会があったら感想をまとめます。
基礎からわかるLIBORマーケット・モデルの実務
LIBOR Market Modelとは金利デリバティブの評価に使われるモデルの1つです。LMMの基礎に関してはこれでカバーがされています。より専門的な内容に関しては、自身のニーズによって変わってくるかと思いますが、他の書籍も併せて読まれると良いかと思います。内容的には金融機関でポピュラーなこのモデルを分かりやすく紹介ししている点がとても良いと思います。
デリバティブキーワード360
こちらの書籍は2019年3月に出たばかりの書籍です。書籍というよりは辞書のような位置づけになります。何度か改訂がされており、こちらが最新のものとなります。用語の解説から、数式の簡単な紹介と幅広い情報が掲載されております。現代の金融市場を代表する最先端の用語を理解、また気になった言葉をすぐに調べられるように、常に手元に置いておきたい一冊です。
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内容が複雑な本、また自分にあまり馴染みのない分野の本を読むときのコツをまとめております。
オプションの世界では基本となるブラックモデルをなるべくシンプルにまとめました。数字が苦手な方でもイメージを掴んでいただけるはずです。
youtubeさんにあるチャンネルですが、グローバルでのデリバティブ動向が紹介されています。