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取引を譲渡 ヘッジファンドが活用するNovationとは

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私は金利デリバティブの仕事に携わって、〇年ほどになります。当初はNovationが来るぞーと言われても、何の事だか全く分かりませんでした。おそらく日本語で分かりやすく書かれた情報があまりなかったからというのもあるかと思い、今回はNovationについて書いてみたいと思います。
 

Novation / ノベーションとは

Novationとは、日本語に移転や譲渡といった意味合いになります。Novationを行う際には、Step-in partyとStep-out party、そしてRemaining Partyが存在します。
  1. Step in party = 取引に入ってくる組織
  2. Step out party = 取引から出ていく組織
  3. Remaining party = 取引に残る組織
このようになります。ざっくり定義を述べたところで実際にどういった取引なのか紹介してみたいと思います。
 

Step in novation

あるヘッジファンドが金融機関Xと取引を持っている。ヘッジファンドはポジションを軽減化したく、その金利スワップから抜けたいと考えている。
 
そこで金融機関Aに取引を渡すことにした。その場合、Step in partyはA社、Step out partyはヘッジファンド、Remaining partyはX社となる。
 
例えば、この渡そうとしているポジションの時価が+100万円だとする。その場合、A社はヘッジファンドに100万円を支払い、このポジションを引き受けることになる(もちろん実際はチャージなどが入るケースもあり、90万円になる場合もある。この10万円がA社の儲けになる)。
 
ヘッジファンドとしてはそのポジションの分をCash化(現金化)できるというメリット、X社からするとカウンターパーティーリスクのあるヘッジファンドから、よりカウンターパーティーリスクの低い同業と取引を締結できるメリットがある。
 
今度はRemaining partyの立場から見てみよう。
 

Remaining Party Novation

我々A社はヘッジファンドと金利スワップを持っている。ヘッジファンドはポジションを抜け、X社にポジションを移転しようとしている。
 
今度は上の例とは少し見え方が違う。もう既に取引(ポジション)を持っているので、
新しくリスクをとるということではなく、あくまでもカウンターパーティーが変わるのである。
 
ただ、この際気を付けなければいけないのがCSAだ。CSAは時価評価の所で使われており、どの通貨で金利スワップを割り引くか(ディスカウントするか)会社で決まっている。
 
元々のヘッジファンドが例えばGBP(ポンド)のディスカウントカーブで時価を計算していたのに、新しく向き合う金融機関のディスカウントカーブがUSD(ドル)であった場合、そのポジションの評価額が変わってくる。
 
この割引カーブの差異によって生まれる評価差はFee(フィー/手数料)として、払うあるいはもらわないと損益がずれてしまうのだ。
 
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