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ヘッジファンドもフル活用 ハーバードも行う最先端のエンダウメント投資とは

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今回は「エンダウメント投資戦略」という本を紹介してみたいと思います。「エンダウメント投資」という言葉自体、ひょっとしたら多くの人はあまり聞きなれないかもしれない。だが実はこのエンダウメント投資と個人投資家の投資法というのは共通点があります。
 
このあたりも含めて、こちらの書籍をご紹介したいと思います。
 

なぜこの本を手に取ったか

エンダウメント投資は、米国の財団や基金が行っている投資のことで、基本的には寄付金を募ってお金を運用するスタイルのことを言う。一方で機関投資家の運用はこれとは違う。年金基金や金融機関は、返済の義務のあるお金を運用している。つまりいつかは返さないといけないお金ということになります。
 
個人の投資スタイルを見ると結局は自己資金(もちろん多くの人は、寄付金を受け取って運用しているわけではないかと思うが。。)の運用という点では近いと思う。個人の運用は、返す必要のないお金ということで、半永久的な運用、言い換えると長期運用が可能なお金となります。
 
このように長期運用を前提とした運用方法で、どのようにパフォーマンスをあげていくのかというのが私の知りたい点であり、本書の趣旨の1つである。ブルームバーグニュースを見ていると、ハーバード大学がリターンを何%出したということはよく聞きます。
 
金融機関とは違った意味でのお金をどのように運用していて、個人レベルで参考になる点はないかと思って、本書を手に取りました。ちなみにエンダウメント投資に関して、まず書籍を購入する前にざっくり知りたい人は、「ファンドアナリストが解説!長期の資産形成を可能にする「エンダウメント戦略」とは?」と「ハーバード、イェールが高利で運用できる理由」が参考になります。
 

感想

とても良い書籍でした。今までのいわゆる初心者向けの資産運用の書籍から一歩進みたいと考えている投資家の方に強くおすすめしたい本です。
 
エンダウメント投資の基本は以下の4点になります。
  1. 長期で投資する
  2. 分散投資を徹底する
  3. オルタナティブ投資を積極的に活用する
  4. 外部の優秀な運用会社を選んで個別の運用は任せる
 
一見難しそうではあるが、本書にあるように、「積立を行いながら、株式を中心に据えて長期投資をし、分散を図り、節税につとめる」というところは我々にとってもできそうな話である。
 
またリバランスを適度に行うことで、リスクとリターンが自分の想定から外れない(リターンの最大化に重要)という基本的なところを、こういった第一線のプロが教えてくれている所も、また安心感を与えてくれます。
 
 
また本書で特に参考になった点は以下の3点です。
 

運用会社の選び方

良い運用会社を選ぶというのは、あなたのお金を預ける場所を選ぶということと同義になるので、非常に重要です。個別株をやられている方であれば、どの企業がいいか選ぶのと同じで、投資信託を使ってお金を運用している方は、どこにお金の運用を頼むかというのは死活問題と言ってもよいくらい重要なことになります。
 
本書では運用会社の選択をする際の基準を次のように紹介しています。
  1. パフォーマンスに対する明確なコミットメントがある
  2. 経営者と運用者の顔が見えること
  3. コストが適正であること(合理的でああること)
  4. 投資家と運用者との利益相反がないこと
 
実はこういった運用会社というのはなかなか数が限られてきてしまいます。逆に言えば、インデックス投資が人気を博しているのはこういった運用会社が少ないからということも1つ言えます。
 
インデックス投資であれば、「あくまでもインデックスへの連動を、低コストで実現する」ということになるからです。人の主観が入る部分が少ないため、ある意味では運用会社の事情が入りにくく、投資家目線ということになりやすい。
 
しかし一方で、アクティブファンドの運用者であると、ファンドマネージャーのいろいろな意味での主観部分が入ってくるので、適正な運用会社を選ぶことが重要になってきます。あなたの大事なお金を任せる人ですので、自分の納得のいく運用会社を選び、常に注意を怠らないようにしましょう。
 

オルタナティブ投資の活用

オルタナティブ投資とは、今までの投資対象とは異なる投資対象への投資のことを指します。従来の投資というと、株式や債券を保有し、キャピタルゲインやインカムゲインを得るという方式でした。
 
しかし現在では投資対象も幅広くなり、今まででは投資対象としていなった商品があります。そのオルタナティブ資産の主なものとして、「ヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産、コモディティ」といった商品があります。
 
このように投資対象が広くなることで、今までにはできなかった分散投資が可能になります。投資対象を多くすることで、今まで以上に分散投資ができるようになり、リスクを抑えながらリターンを得ていくことが可能になりました。
 

リスクを抑えたエンダウメントポートフォリオの構築

本書のキモともいえる部分がこのエンダウメントポートフォリオの構築になります。具体的にどのようにやっていくのでしょう。
 
まずはリスク許容度の把握です。いろいろな書籍にもこの「リスク」という話は出てきます。本書でも「どれくらいのドローダウンを覚悟できるか」ということをリスク許容度と定義しています。その中で分散投資を行っていくのですが、本書ではエンダウメント投資のサンプルポートフォリオの1つとして、このような資産分配が紹介されています。
  • 株式 40% = インフレヘッジ
  • REIT 10% = インフレヘッジ
  • 債券 20% = デフレヘッジ・ショックに対するヘッジ
  • オルタナティブ 30% = ショックに対するヘッジ
 
これをベースにしながら、あとは個々人の事情を加味して、自分でポートフォリオを構成していきます。例えばもう少しリスク(資産の変動)を抑えたければ、債券に対する割合を増やしても良いですし、逆に他の資産に対する分配を変えていくこともできます。ここが個々人の考えが出てくるので、一番難しくもあり、楽しい部分であるかもしれません。
 
ちなみに、もしそういったポートフォリオを自分で作って管理していくのが大変という方には朗報もあります。それはこの著者である山内氏の運用するファンドに投資をするということです(笑)
 
このGCIさんのファンドの詳細は「GCI Asset Management」のページから見ることができます。販売会社さんも出ているので、もしご興味のある方はその証券会社さんで口座を開くのもよいでしょう。
 
私自身がこのファンドの良いと思う部分は、個人では投資が難しいヘッジファンドが組み込まれたポートフォリオに投資ができるという点です。株式や債券、REITに対する投資は自分自身で作ることができます。しかしヘッジファンドを始めとした従来とは異なる投資対象への投資を、一般の方がするとなると難しい現実もあります。そこに個人が簡単に投資ができるというのは、本ファンドの一番の強みだと思います。
 
少し話がずれますが、個人的にはリスク指標の所が面白かった。ファンドの優位性を見るときに一般的にはシャープレシオを見ますが、それに追加してソルティノレシオを紹介しています。
 
 
 
これを紹介している書籍はあまり知らないので、ここだけでも非常に有益な情報だと思うソルティノレシオとは、下方リスクに対してのリターンを見る指標のことである。シャープレシオではアップサイドもリスクとして考え、リターンの効率性を見ているが、本来投資家が気にするのはダウンサイドに対するリターンであるはず。
 
このGCIさんのファンドの月報にはこのソルティノレシオも公表がされていますので、ぜひとも正しく理解をしたうえで投資判断を下していきたいです。
 

終わりに

本書の良いところは、従来の株式と債券に分けたポートフォリオに対して疑問を投げかけ、その中でヘッジファンドといったオルタナティブ投資をポートフォリオに入れることで、分散投資とリターンの底上げをしていこうという理論が紹介されている点です。
 
そういった意味では、本書は投資初心者よりはある程度運用を行い、どうしたらリスクを抑えながらもう少しリターンを上げることができるのだろうと悩む投資家向けという印象を持ちました。
 
本書にもありますが、今のマーケットでは金利の低下(債券価格の高止まり)により、債券の値上がり余地が少なくなってきている。そんな中、ヘッジファンドというマーケットの動きに関わらず一定のリターンを生み出す(期待のある)商品というのは、分散投資の上で今後重要な意味を持ってくる。ヘッジファンドの活用というのは最先端の投資法であると言える。
 
しかし個人がオルタナティブ資産に投資をするのは難しい部分もある。その意味で、GCIさんの運用しているファンドを選択肢の1つとして考えるのは、あなたの資産運用を変えるソリューションになるかもしれない。
 
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