投資はハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンなのか
金融を勉強すると、よく言われるのが「ハイリスク・ハイリターン」あるいは「ローリスク・ローリターン」という言葉です。つまり高いリターンを得るには高いリスクを取らないといけない、逆にリスクを抑えればリターンもそれなりにしかならないということです。
今回はそこのところの話をしてみたいと思います。
金融の世界でいうリスクとはどういう意味か
これが正しいかを考える前にそもそもリスクとは何だろうか。リスクとは、値動きの幅(散らばり)のことを指します。さらに言うと「不確実性」あるいは「分からないこと」という意味にもなります。
例えば、ある金融資産が100円のリターンを見込めるとする。しかしそれに投資すると、150円にもなるが50円にもなりえる。一方、同じ商品だが、値幅が120円から80円とする。
どちらの商品がリスクが高いか?
上手くいった場合、前者が150円、後者が120円だとしても、リスクが高いというのは前者になります。それは値段の散らばりがより大きいからです。
このような値段の散らばりを、金融の世界では「リスク」と呼ぶ。下の図だと赤いほうがリスクが低く、青いほうがリスクが高いということになる。
以下の図はwikipediaの標準偏差の項からお借りしたものですが、リスクは「標準偏差」という形で図るのが一般的である。(「標準偏差」に関しては現時点ではあまり言及しない。あくまでもどのくらい散らばっているかというイメージで十分です)
ファンドの実力を示す指標 シャープレシオ
高いリターンを得るためにはリスクも高くないといけないという話を紹介した。それは上にも下にも行く可能性が高い(散らばりが大きい)必要があるからだ。だが必ずしもそうではありません。
そこで紹介したい指標がシャープレシオというものになる。シャープ・レシオとは、
「取ったリスクに対してどのくらいのリターンが得られるか」を示した指標だ。
つまりリスクに対する相対的なリターンのことになる。
以下が算出方法になります。
(出典は「シャープレシオは投資の効率性を示す指標」です)
リターンからリスクフリーレートを引いているのは、超過リターンを出すためである。例えば国債の金利(身近な例でいえば預金金利)など、リスクを取らなくてもリターンを得ることはできる。
それを差し引くことでリスクを取ってのリターンをまず出し、それをリスク(標準偏差)で割ることで、リスクに対してどのくらいのリターンが望めるかを見ているのです。
例えば、
- ファンドAはリターンが15%、リスクフリーレートが5%、リスクが10%
- ファンドBはリターンが13%、リスクフリーレートが5%、リスクが5%
だとする。どちらのファンドが優秀か。
上の公式に当てはめてシャープレシオを計算すればファンドBのほうが優秀なことが分かるかと思います。
シャープレシオを投資信託を選ぶ際の基準の一つへ
ではシャープ・レシオを見ながらファンドを選んでみるとする。そもそもシャープレシオはどこで見れるかというと。。。
こちらの「投資信託のモーニングスター」のページがお勧めです。
例えば以下はあるファンドのデータである。シャープレシオは5年で0.67という数字が見える。基本的にはこの数字は長期で見たほうが良いです。
なぜならば1年など短期だと、たまたまうまくいったというケースもあり得るからだ。
(もちろんファンドの運営機関によっては長期のデータがない場合もある)
今度は違うファンドのデータである。同じ期間5年で1.00とある。つまりこのシャープレシオという指標で行けば、こちらのファンドの方がリスクに対してのリターンが高く優秀ということになる。
もちろん投信の選択においてシャープレシオだけで判断するということが良いのか悪いのかはここでは判断できない。ただ一つ言えることは、必ずしも高いリターンを得るために高いリスクを取らないといけないということはないということだ。ぜひ活用していただきたい指標の一つです。