GPIFのページって、個人投資家のバイブルとして見れるよね
今回はGPIFのページを見ていて、改めてよくできているなと思ったので、書いてみたいと思います。
GPIFとは皆さんご存知の通り、「年金積立金管理運用独立行政法人」(Government Pension Investment Fundの略)で、我々の年金を運用してくれている機関です。我々は年金を積み立てており、それを運用してくれている形になります。これって何となく我々が行う投資の積み立てに似ていると感じるかと思います。
では実際にどのような運用をしているのか見ていきたいと思います。
基本のポートフォリオ
まずGPIFのHPより「基本ポートフォリオ | 年金積立金管理運用独立行政法人」を見るてみましょう。運用資産の振り分け(アロケーション)を見ることができます。
どうですかね。株式資産の比率を増やしたと言われていますが、債券への投資も十分狙っているので、そこまでリスクの高いポートフォリオにはないように見えます。
実際の数値目標としては、運用利回りが3.2%。これは物価上昇分を加味したうえで、実質1.1%の利回りを目指しているとのことです。
出典:基本ポートフォリオの考え方 | 年金積立金管理運用独立行政法人
実際の運用成績はどうか。
2017年8月に発表された「2001年以降の累積収益」は年率換算で+3.07%、金額ベースで言うと+58.5兆円となったそうです。
今回のこの運用結果に関して高橋理事長は以下のようにコメントをしています。
2017(平成29)年度第1四半期(4月~6月)は、内外の堅調な経済指標、良好な企業業績により、世界的な株高基調が継続しました。また、日銀の金融緩和が継続される中で、FRB(米連邦準備理事会)の政策金利引き上げやECB(欧州中央銀行)等の金融政策正常化観測から円安基調となりました。
国内外の好調な業績や、為替相場が円安に動いたこともこの運用成績に寄与したようです。GPIFは動画でも運用成績の公開も行っていますので、ご興味がある方は一度見てみるのが良いかと思います。
個人投資家として得られる部分
では我々個人投資家としては、どのような所を得られるでしょうか。まず第一にGPIFという大きな機関であっても「アロケーションをちゃんと決めて運用しているんだな」ということ。これは結局はポートフォリオ理論の基本的なところになるのですが、分散投資を行うことでリスクを最小限にし、そのなかでリターンを最大化していくということにつながっていきます。
やはり一時的な下げは市場ですから起こりえるのですが、その中でも株式をベースにしながら債券でリスクを調整し、ポートフォリオを管理していくというのは、機関投資家だけではなく、我々も学ぶことができるのではないでしょうか。
第二に、そもそも何にどう投資していいか分からなければ、このGPIFのアロケーションを参考にしてみるのもよいのではないでしょうか。上のグラフにもあるように、概ね株式・債券で50%ずつ程度の資産分配をベースに行っているようです。
「分散投資の意義 | 年金積立金管理運用独立行政法人」は株式に投資する意義、債券に投資する意義といったことが紹介されています。内容としては基本的なことかもしれませんが、初めて資産運用を開始される方にとっては、非常に有益な情報かと思います。
もし我々も何に投資してポートフォリオを組んだらいいのか、今の資産分配で問題ないのかというところで、道筋を求めてみたくなったら、この巨大運用期間も基本に沿った運用を行っているというところを見てみるのも良いのではないだろうか。
最後に「投資原則に基づく長期的な運用」です。皆さんは運用される際に投資原則といったものをお持ちですか。正直これは何でもいいと思います。例えば、「毎月〇万円は必ず投資に回す」ですとか「一度決めたアロケーションはすぐに変えない」ですとかそういったものでいいかと思います。
「投資原則・行動規範等 | 年金積立金管理運用独立行政法人」では、GPIFにて設定がされている原則が紹介されています。
基本ポートフォリオを策定し、資産全体、各資産クラス、各運用受託機関等のそれぞれの段階でリスク管理を行うとともに、パッシブ運用とアクティブ運用を併用し、資産クラスごとにベンチマーク収益率(市場平均収益率)を確保しつつ、収益を生み出す投資機会の発掘に努める。
リスク管理やベンチマーク収益の確保といったところは我々にとっても身近な部分ではないでしょうか。
まとめ
このようにGPIFという我々の年金を運用している一大機関であっても我々の運用と似た部分はあるというところが見えるかと思います。運用は一人で行っていくことが多いです。運用がうまく行かないと、方向性を見失ってしまうことがあるかもしれません。そんなときにこの年金運用の方針をバイブルとして見てみるのはいかがでしょうか。